2025/07/09 コラム
交通事故の被害に遭ったらまず何をすべき?初期対応と流れを徹底解説
突然の交通事故。パニックになってしまい、「何をどうすれば良いのか分からない」と混乱してしまうのは当然のことです。しかし、事故直後の初期対応は、ご自身の身体を守り、将来的に適正な損害賠償を受け取るために極めて重要です。
この記事では、万が一交通事故の被害に遭ってしまった場合に、まず何をすべきかという初期対応から、損害賠償問題が解決するまでの全体的な流れまでを、順を追って徹底的に解説します。落ち着いて行動するための指針として、ぜひご活用ください。
【事故直後の最優先事項】まずやるべき5つの初期対応
事故が発生した直後は、気が動転している中でも、必ず以下の5つのステップを順番に実行してください。
1. 負傷者の救護と安全の確保
何よりもまず優先すべきは、人命の安全です。ご自身や同乗者、そして加害者を含め、負傷者がいる場合はすぐに119番通報し、救急車を呼びましょう。可能であれば、止血などの応急手当を行います。
同時に、後続車による二次被害を防ぐため、以下の対応を取ってください。
- 車両を安全な場所に移動させる(路肩や空き地など)
- ハザードランプを点灯し、発煙筒や停止表示器材を設置する
ご自身の安全を確保した上で、落ち着いて行動することが大切です。
2. 警察への連絡(110番)
次に、必ず警察に110番通報してください。「たいした事故ではないから」「加害者が急いでいるから」といった理由で警察に連絡しないのは絶対にやめましょう。
警察への届出は、道路交通法で定められた運転者の義務です。それだけでなく、届出をしないと、保険会社に損害賠償を請求する際に必要となる「交通事故証明書」が発行されません。
加害者から「警察を呼ばずに示談にしませんか」と持ちかけられることがありますが、その場で示談に応じてはいけません。後から痛みが出てきたり、車の修理に思った以上の費用が掛かったりする可能性があるため、必ず警察を呼び、客観的な記録を残してもらいましょう。
3. 加害者の情報を確認する
警察の到着を待つ間に、必ず加害者の情報を確認し、記録しておきましょう。後々の損害賠償請求に不可欠な情報です。
【必ず確認すべき加害者の情報リスト】
- 氏名、住所、連絡先(携帯電話番号)
- 運転免許証(氏名、住所、生年月日、免許証番号)
- 自動車検査証(車検証)(加害車両の所有者情報、登録番号)
- 自賠責保険・任意保険の会社名、証明書番号
相手に提示を求め、スマートフォンのカメラで免許証や車検証、保険証書を撮影しておくのが最も確実で簡単です。
4. 事故状況の記録・証拠を保全する
事故の記憶は時間とともに薄れていきます。ご自身の記憶が鮮明なうちに、できるだけ詳細に事故状況を記録しておくことが、後の過失割合の交渉などで非常に有利に働きます。
- 写真撮影:スマートフォン等で、以下のものを様々な角度から撮影しましょう。
- 事故現場全体の状況(道路の幅、見通し、信号機や標識の有無)
- 衝突した車両双方の損傷箇所
- ブレーキ痕(タイヤのスリップ痕)
- 加害車両と被害車両の位置関係
- 目撃者の確保:もし事故の目撃者がいれば、協力を依頼し、氏名と連絡先を聞いておきましょう。
- ドライブレコーダーの映像:ご自身または相手の車にドライブレコーダーが付いている場合は、映像を必ず保存してください。
これらの客観的な証拠は、事実関係を証明する上で何よりの武器となります。
5. 必ず病院で診察を受ける
事故直後は興奮状態にあるため、痛みや異常を感じにくいことがよくあります。しかし、「痛くないから大丈夫」と自己判断せず、必ずその日のうちに病院(できれば整形外科)を受診してください。
事故から時間が経ってから受診すると、その症状と事故との因果関係を証明するのが難しくなり、治療費や慰謝料が支払われなくなる恐れがあります。
たとえ軽い物損事故だと思っていても、医師の診察を受け、診断書をもらってください。その診断書を警察に提出することで、「物損事故」から「人身事故」に切り替えることができ、治療費や慰謝料といった人身損害に対する賠償請求が可能になります。
【事故後から解決まで】損害賠償請求の全体的な流れ
事故直後の初期対応を終えた後、問題解決までは一般的に以下の流れで進んでいきます。
STEP 1:治療への専念
まずは怪我の治療に専念することが最も重要です。医師の指示に従い、適切な頻度で通院を続けましょう。ここで自己判断で通院をやめてしまうと、症状が長引くだけでなく、「怪我はもう治った」と判断され、その後の治療費や慰謝料が打ち切られる原因にもなります。
STEP 2:症状固定と後遺障害等級認定
治療を継続しても、残念ながらこれ以上は回復が見込めない状態になることがあります。この状態を「症状固定」といいます。
症状固定の時点で身体に何らかの症状が残ってしまった場合、その症状が「後遺障害」に該当するかどうかを判断してもらうため、「後遺障害等級認定」の申請を行います。この等級(1級~14級)が認定されると、入通院慰謝料とは別に「後遺障害慰謝料」と「逸失利益(後遺障害によって将来得られなくなった収入)」を請求できるようになります。
STEP 3:保険会社との示談交渉
治療が終了(症状固定)し、損害額の全体像が固まったら、加害者側の任意保険会社との間で具体的な賠償金額を決める「示談交渉」が始まります。
通常、保険会社から賠償額を記載した示談案が送られてきます。しかし、この提示額は、前回の記事でも解説した通り、本来受け取れるはずの「弁護士基準」よりも低い金額であることがほとんどです。
STEP 4:示談成立または裁判・ADR
保険会社の提示する示談内容に双方が合意すれば、「示談書」に署名・捺印し、問題は解決となります。後日、示談書の内容に基づいた賠償金が振り込まれます。
一度示談書にサインすると、原則として後から追加の請求(再示談)はできませんので、内容を慎重に検討する必要があります。
もし示談交渉が決裂した場合は、交通事故紛争処理センターなどのADR(裁判外紛争解決手続)機関や、地方裁判所での民事訴訟(裁判)といった法的手続きで解決を目指すことになります。
まとめ
交通事故は初期対応が肝心です。お一人で悩まずご相談を
交通事故の被害に遭った場合、事故直後の冷静な初期対応が、その後の治療や損害賠償請求の結果を大きく左右します。
- 負傷者を救護し、安全を確保する
- 必ず警察に連絡する
- 加害者の情報を確認する
- 事故状況の証拠を残す
- 痛くなくても必ず病院へ行く
この5つの鉄則を必ず守ってください。そして、治療から示談交渉に至る過程で、少しでも不安や疑問を感じたら、決して一人で抱え込まず、私たち弁護士にご相談ください。
弁護士法人長瀬総合法律事務所は、交通事故の被害に遭われた方が正当な権利を実現できるようサポートいたします。保険会社との交渉や後遺障害等級認定の手続きなど、専門的な知識が求められる場面で、あなたの最も頼れる味方となります。ご相談は無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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