コラム

2025/07/11 コラム

交通事故の過失割合に納得できない!交渉で不利にならないための対処法

交通事故の示談交渉において、慰謝料の金額と並んで最も争点になりやすいのが「過失割合」です。加害者側の保険会社から提示された過失割合を見て、「なぜこちらにもそんなに過失があるのか」と納得できないと感じる被害者の方は非常に多くいらっしゃいます。

この過失割合は、最終的に受け取れる賠償金の額に直接影響する、極めて重要な要素です。

この記事では、過失割合の基本的な考え方から、保険会社の提示に納得できない場合の具体的な対処法までを分かりやすく解説します。

過失割合とは?なぜ重要なのか?

過失割合とは、発生した交通事故に対する責任(不注意の度合い)が、被害者と加害者にそれぞれどのくらいあるのかをパーセンテージで示したものです。

そして、この過失割合がなぜ重要かというと、「過失相殺」というルールがあるからです。過失相殺とは、被害者側にも過失があった場合、その割合に応じて受け取れる損害賠償金が減額される仕組みのことを指します。

過失相殺の計算例

  • 被害者の損害総額(治療費、慰謝料、休業損害など):1,000万円
  • 過失割合が「被害者20%:加害者80%」の場合

このケースで被害者が受け取れる賠償金額は、

1,000万円−(1,000万円×20%)=800万円

となり、自身の過失分である200万円が差し引かれてしまいます。

このように、たとえ10%でも過失割合が変われば、賠償額は大きく変動します。だからこそ、保険会社が提示する過失割合を鵜呑みにしてはいけないのです。

過失割合は誰が、どうやって決めるのか?

過失割合は、最終的には事故の当事者双方(通常は双方の保険会社の担当者)の話し合いによって決定されます。

その際、担当者が気分や印象で決めているわけではありません。過去の膨大な裁判例を類型化してまとめた「別冊判例タイムズ38号民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」といった専門書籍を基準としています。

この本には、「信号機のある交差点での直進車と右折車の事故」「センターラインオーバーの事故」といった典型的な事故のパターンごとに、基本的な過失割合が示されています。そして、個別の事故状況(夜間か昼間か、道路の状況、一方の著しい過失など)を「修正要素」として加味し、最終的な割合を算出していくのです。

注意!保険会社の提示する過失割合が正しいとは限らない

ここで注意すべきは、加害者側の保険会社が提示してくる過失割合は、あくまで「保険会社の主張」に過ぎないという点です。

保険会社は、自社が支払う保険金を少しでも抑えるため、どうしても加害者に有利な(=被害者の過失を大きくする)主張をしてくる傾向があります。例えば、被害者にとって有利な事実(相手の速度超過など)を考慮せず、不利な事実ばかりを強調してくるケースは少なくありません。

交通事故や法律の専門知識がない被害者の方は、そうした主張を「プロが言うのだから正しいのだろう」と思い込み、不利な条件で合意してしまう危険性があるのです。

過失割合に納得できない場合の3つの対処法

保険会社の提示する過失割合に納得できない場合は、以下の手順で対処しましょう。

安易に同意しない

何よりもまず、納得できないのであれば示談書にサインしてはいけません。一度でも合意してしまうと、それを覆すことは極めて困難になります。

客観的な証拠を集めて反論する

感情的に「納得できない」と伝えるだけでは、交渉は進展しません。保険会社の主張を覆すには、客観的な証拠に基づいて「なぜその過失割合がおかしいのか」を具体的に主張する必要があります。

【有効な客観的証拠の例】

  • ドライブレコーダーの映像
    最も強力な証拠の一つです。
  • 実況見分調書
    警察が事故直後に作成する詳細な現場の記録です。刑事事件の記録として、検察庁から取り寄せる必要があります。
  • 事故現場や車両の損傷箇所の写真
  • 目撃者の証言

これらの証拠を基に、相手のどのような行為(速度超過、脇見運転、合図なしの車線変更など)が事故の原因となったかを具体的に指摘し、判例に照らした妥当な過失割合を主張します。

交通事故に強い弁護士に相談する

証拠を集めて自分で交渉することも可能ですが、非常に大きな労力がかかりますし、専門知識がなければ保険会社の担当者と対等に渡り合うのは困難です。

そこで最も効果的なのが、専門家である弁護士に交渉を依頼することです。弁護士は、証拠を法的な観点から精査し、適切な過去の裁判例を基に、被害者にとって最も有利な過失割合を主張します。保険会社側も、相手が弁護士となれば無茶な主張は引っ込め、交渉のテーブルに真摯に応じるのが一般的です。

実際に、弁護士が介入したことで、当初の提示から10%20%以上も被害者の過失が減り、賠償金が大幅に増額されたケースは数多く存在します。

まとめ

過失割合は、あなたの受け取る賠償金を決定づける非常に重要な要素です。加害者側保険会社の提示を鵜呑みにせず、少しでも疑問に思ったら、必ずその根拠を問い質し、安易に合意しないでください。

ご自身の主張を客観的証拠で裏付け、法的に正しい過失割合を勝ち取るためには、専門家である弁護士のサポートが重要です。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、過失割合に関するご相談も無料で承っております。納得のいかない提示を受けてお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。


 

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