コラム

2025/01/01 コラム

学校で起きた事故被害から解決までの実務的ポイント

Q&A

Q: 学校で子どもが事故に遭った場合、どのような流れで問題解決に至るのでしょうか?

A: 学校事故は、医療機関での治療や後遺障害等級の認定手続、日本スポーツ振興センターへの申請、加害者や学校側との示談交渉、場合によっては民事裁判など、多岐にわたるプロセスを経ます。また、手続き上のミスが将来の損害賠償額や後遺障害等級の認定結果に影響することも少なくありません。お早めに弁護士へ相談し、的確な行動をとることがポイントとなります。

Q: なぜ弁護士に相談することが重要なのですか?

A: 学校事故は子ども特有の事情や、学校管理責任、加害者が未成年であるケースなどが絡み合うため、専門知識が求められます。早期に弁護士へ依頼すれば、適切な治療方針や通院頻度のアドバイス、後遺障害等級認定申請手続きのサポートなど、後々の損害賠償交渉・裁判において有利な立場を築くことが可能です。

はじめに

本稿では、学校事故が起きた際に被害者側が知っておくべき手順やポイントを説明します。はじめに、事故直後の行動や治療中の注意点、後遺障害等級申請の流れ、加害者・学校側との示談交渉、最終的に民事裁判に至るケースまでを整理し

目次

  1. 学校事故発生直後に知っておくべきこと
  2. 治療期間中に押さえるべきポイント
  3. 後遺障害等級認定とその不服審査手続き
  4. 加害者・学校側への損害賠償請求と示談交渉の流れ
  5. 民事裁判による解決方法
  6. 弁護士に相談するメリット
  7. まとめ

1. 学校事故発生直後に知っておくべきこと

早期の医療機関受診

事故直後は痛みや痺れが軽微でも、放置すると後から深刻な症状が出る場合があります。最初に病院へ行かなければ、後になって治療費や慰謝料の支払いが否定される可能性もあります。早期受診は、因果関係を明確にし、適正な損害賠償を受ける基盤となります。

学校への報告

学校管理下で事故が起きた場合(通学中や校内外行事含む)、必ず学校に報告しましょう。これによって教育委員会への災害報告書が作成され、日本スポーツ振興センターからの給付など、事故の事実が公的に認定され、後々の手続きが円滑になります。

弁護士への相談

事故直後の対応が、後の賠償金額や後遺障害認定に大きな影響を及ぼします。例えば、適切な診療科へ通わずに症状を見逃すと、後遺障害等級が認定されず、慰謝料が減額されることもあります。専門的知識を持つ弁護士に早めに相談することで、適切な初動を確保できます。

2. 治療におけるポイント

通院頻度

一般的に週23回程度の通院が、慰謝料を満額近く得る上で有利と言われています。診断名や症状によっては通院頻度が異なる場合もありますが、原則的には症状に見合う頻度で適切な治療を受けましょう。

後遺障害等級への影響

後遺障害等級認定において、通院の仕方や頻度は審査で重視されます。不規則な通院や極端に通院間隔が空くと、後遺障害として認定されにくくなります。専門知識を有した弁護士なら、傷病名に合わせた通院戦略をアドバイスできます。

症状の伝え方

医師や理学療法士から症状を尋ねられた際、「だいぶ良くなった」など曖昧な表現は禁物です。まだ痛みやしびれが残る場合はそのまま伝え、症状の伝え漏れがないようにしましょう。後で主張しても、記録がなければ症状が無いものとみなされかねません。

必要な画像撮影や検査の実施

必要なMRICT、電気生理学的検査などを適切なタイミングで受けなければ、後遺障害が正しく認定されないことがあります。専門的な検査が必要か迷ったら、弁護士に相談することで、正しい医学的検査計画を立てられます。

3. 後遺障害等級認定と不服審査手続き

症状固定と障害診断書作成のポイント

後遺障害認定には、傷病名をもれなく記載すること、後遺症状の全体像や程度を的確に医師へ伝えることが大切です。不足や漏れのある障害診断書は、適正な後遺障害等級を得る障害になります。

日本スポーツ振興センターによる審査

後遺障害等級申請には適切な医学的証拠が必要です。必要に応じて意見書等を提出することで審査機関に正確な情報を伝え、有利な等級認定につなげます。

不服審査請求

認定結果に納得いかない場合は、不服審査請求を行います。不服審査請求では新たな証拠を追加し、より説得力のある主張を行うことが重要です。それでも認定が覆らない場合、訴訟などの手続きに移行することがあります。

4. 加害者・学校側への損害賠償請求と示談交渉の流れ

損害賠償請求

後遺障害等級が確定し、損害額が固まった段階で、加害者や学校へ損害賠償請求を行います。内容証明郵便を送付することで、請求の事実を公的に明らかにし、交渉の出発点とします。

学校側との交渉

  • 公立学校の場合
    税金による支払い調整や教育委員会の承認など手間がかかる傾向にあるため、期限を切って対応を迫り、回答がなければ訴訟へ進むことも選択肢になります。
  • 私立学校の場合
    保険会社や弁護士が対応することが多く、交渉の進み方は保険会社対応や弁護士対応の場合と類似します。

5. 民事裁判による解決方法

提訴先・管轄裁判所の選択

加害者の住所地、事故現場、被害者の住所地などに基づき、どの裁判所に提訴するか選択します。

被告の特定

加害者・学校・教師個人など、責任を負うべき相手を明確にし、必要に応じて複数の被告を訴えることも可能です。

訴訟手続きの流れ

訴状提出後、被告側の答弁書や準備書面によって主張と反論が繰り返されます。

裁判所和解案と判決

書面や証拠が揃うと、裁判所が和解案を提示することがあります。和解が成立しなければ尋問・判決へ進み、判決に不服があれば控訴可能です。

6. 弁護士に相談するメリット

適切な初動対応

弁護士に早期相談することで、適切な診療科の選択、通院頻度のアドバイス、必要な検査の実施など、被害者側に有利な証拠を積み上げる初動が可能となります。

後遺障害等級認定への専門的サポート

後遺障害等級の審査は専門性が高く、書類不備や記載不足が命取りです。弁護士は医師と連携し、最適な障害診断書の作成をサポートします。

示談交渉・裁判戦略

経験豊富な弁護士は、保険会社担当者や相手側弁護士との駆け引きに慣れており、裁判基準以上の賠償を勝ち取るケースもあります。また、裁判戦略や和解案への対応、判決後の控訴戦略なども総合的にサポートします。

精神的負担の軽減

加害者側や学校との直接交渉は精神的に負担が大きいものです。弁護士を代理人とすることで、直接的なやりとりを避け、法的手続きに専念でき、被害者家族は安心して日常生活に戻ることができます。

7. まとめ

本稿では、学校事故が発生してから解決に至るまでの流れやポイント、示談交渉や裁判のプロセス、そして弁護士に相談するメリットを詳しく解説しました。適切な初動・通院・書類作成・交渉が、最終的な損害賠償額に大きな影響を与えます。学校事故特有の複雑な法的問題は、専門家である弁護士を早期に活用することで、有利な結果につなげることが可能です。

解説動画のご紹介

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