学校事故

2025/03/02 学校事故

学校施設の不備で起きる怪我と賠償責任:建物・設備の管理義務を再点検

      はじめに

      学校の校舎や体育館、運動場、プールなど、子どもたちが日々使用する学校施設には安全に配慮した設計やメンテナンスが求められます。しかし、老朽化した建物や整備不足のスポーツ設備などが原因で、児童・生徒が転倒や落下、器具の破損による怪我を負う事件が後を絶ちません。これらの事故は、施設管理の不備が原因と認められれば、学校や設置者が損害賠償責任を負う可能性が高いです。

      本稿では、学校施設の不備がもとで起きる事故を改めて取り上げ、その法律上の責任や事故後の対応、弁護士に相談するメリットなどを整理します。保護者や教育関係者が施設の安全管理に目を向けるためのヒントになれば幸いです。

      Q&A

      Q1:学校施設の不備によって子どもが怪我をした場合、学校は必ず責任を負うのですか?

      学校側(公立なら自治体、私立なら学校法人)には施設管理責任安全配慮義務があります。施設の老朽化や危険箇所の放置、点検不足など、予見可能性のある不備が原因で事故が起きた場合、学校の過失が認められ、損害賠償を負う可能性が高いです。ただし、子ども自身の行動に重大な過失があった場合は、過失相殺などで学校の責任が軽減されるケースもあります。

      Q2:公立学校の場合、だれが相手方になるのでしょう?

      公立学校は地方公共団体が設置者なので、国家賠償法に基づき、自治体を相手に損害賠償請求を行うのが通常です。教育委員会を通じて自治体が交渉主体となり、示談や裁判で解決を図ることになります。

      Q3:具体的にはどんな不備が多いですか?

      例として、

      • 老朽化した校舎や体育館の天井・壁・床が破損し、生徒に落下物が当たる
      • プールの排水口や滑りやすい床を放置して事故
      • 遊具や運動用具(サッカーゴール、バスケットゴールなど)の固定不足
      • 段差や階段の手すり未設置、破損したまま
        などが挙げられます。

      Q4:施設の不備を見つけた場合、保護者はどう行動すればいいでしょうか?

      学校や教育委員会に通報・要望をし、改善を求めるのが第一です。改善要望書として文書で提出することで、後々のトラブル防止にもつながります。学校が動かない場合はPTAや自治体議員、メディアなどにアプローチする選択肢も考えられます。

      Q5:事故後、学校が過失を認めないときは?

      事故当時の写真や周囲の証言、学校が作成する事故報告書などの証拠を集め、納得できない対応が続くようなら、早めに弁護士へ相談して示談交渉や法的手続きを検討します。

      解説

      施設不備と管理責任

      学校は多くの生徒が同時に利用する公共的な施設であり、建築基準法学校施設基準などの法令に基づき、安全を保つ義務があります。

      • 定期点検修繕計画の実施
      • 老朽化した部分の補強危険表示
      • スポーツ設備の定期メンテナンス
        これらを十分に行わず事故が起きた場合、施設管理者(自治体・学校法人)の過失が大きく問われます。

      事故後の流れ

      1. 負傷者の救護・医療機関受診
        怪我の程度を確認し、診断書を取得。
      2. 学校の事故報告書・施設点検記録の確認
        どのような設備が不備だったか、原因や整備状況などを把握する。
      3. 示談交渉・裁判
        公立学校なら自治体との国家賠償交渉、私立なら学校法人との示談・裁判を通じて責任と損害額を決める。

      事故事例

      • 体育館の照明や窓ガラスが落下して生徒が頭部負傷
      • 運動場にあるゴールポストが固定されず倒れて骨折
      • 校舎の壁のコンクリート片が風で落ち、生徒に直撃して負傷
      • プールサイドが滑りやすいのに放置されて転倒事故

      弁護士に相談するメリット

      1. 施設不備の立証
        点検記録や修繕計画、予算措置などを調べ、法的に施設管理の不備を明らかにする。
      2. 過失割合の検討
        学校だけでなく、生徒の行動にも一定の過失があるかどうかを精査し、最適な主張を構築。
      3. 損害項目の正確な積算
        治療費だけでなく、後遺障害が残れば逸失利益や慰謝料など総合的に請求する。
      4. 示談・裁判手続き
        学校(自治体・法人)や保険会社との交渉を弁護士が代理し、裁判に進む場合も支援する。

      まとめ

      老朽化や整備不足の学校施設がもとで児童・生徒が怪我をした場合、学校の設置者(公立の場合は自治体、私立の場合は学校法人)が管理責任を問われることがあります。特に、校舎の構造物や体育設備などの設備不備は、「予見可能で修繕可能」だったと判断されれば、損害賠償責任を負う可能性が高いでしょう。

      保護者としては、まず子どもの怪我や被害の程度を医療機関で診断してもらい、学校側の事故報告書や施設の点検履歴をしっかり確認するのが重要です。もし学校の説明に納得できない、または責任を否定する態度に困惑する場合は、弁護士を交えて示談交渉や法的手段を検討することが望ましいです。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、学校事故・施設不備に関するご相談にサポートを行い、円滑な解決と再発防止に貢献します。


       

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