2025/04/03 学校事故
いじめ被害と学校の対応:安全配慮義務違反と損害賠償をめぐる注意点
はじめに
いじめは、子どもの心身に大きな傷を残す深刻な問題であり、長期化すると不登校や自殺に繋がる可能性さえ否定できません。学校側にはいじめを防ぎ、発生した場合には速やかに対処する法的義務があります。しかし現実には、「学校がいじめを把握しても黙殺した」「被害を訴えても適切な調査が行われず、被害が拡大した」などの事例が後を絶たず、被害者や保護者が学校や加害生徒の保護者に損害賠償を求めるケースも増えています。
本稿では、いじめ被害に関する学校の安全配慮義務を取り上げ、被害者が法的にどのような救済手段を取れるのか、事故(被害)後の対応や弁護士への相談メリットを含めて解説します。
Q&A
Q1:いじめ防止対策推進法により、学校にはどのような義務が課されているのですか?
いじめ防止対策推進法(2013年施行)により、学校はいじめを早期発見・早期対応するための体制を整え、いじめが疑われる際には速やかに調査・保護者連絡を行う義務を負っています。さらに重大事態(いじめによる不登校、被害者の自殺など)が発生した場合、第三者委員会による調査が行われることも定められています。
Q2:いじめ被害で学校に安全配慮義務違反が認められるのは、どんな状況でしょうか?
たとえば、
- いじめの兆候や報告があったのに放置した
- 十分な調査も指導も行わず、被害が拡大・長期化した
- 加害生徒の暴力や金銭要求、ネットいじめなどを把握しながら具体的対策をとらなかった
などの場合、学校が事前に対応できた可能性が高いとみなされ、安全配慮義務違反が問われやすいです。
Q3:加害者の生徒が未成年の場合、加害者本人への賠償請求はどうなるのですか?
未成年生徒の場合、民法714条に基づき、原則として保護者(親)が監督義務違反を問われる形で損害賠償責任を負う可能性が出てきます。ただし、加害者本人が14歳以上など責任能力を有すると判断されれば、一部責任が本人にも認められる場合があります。
Q4:精神的被害だけでも賠償を求められますか?
いじめ被害による精神的苦痛は、慰謝料の対象となります。被害者が精神科やカウンセリングを受けている場合、その費用や治療経過を示すことで損害賠償に含めることが可能です。
Q5:学校がいじめ問題を否定し、対応が得られないときはどうすればいいでしょうか?
証拠としてSNSのやり取りやメモ、録音などを集め、同時に教育委員会や第三者委員会に相談しましょう。学校が協力しない場合は、弁護士に依頼して法的手続きを視野に入れ、学校の過失を追及して損害賠償を求めることが必要です。
解説
いじめ被害と学校の責任
学校はいじめを未然に防ぎ、発生後は迅速に対応しなければならない法的義務を負っています。実際には、
- 「いじめはなかった」と事実を隠す
- 被害者側の訴えを軽視し、証拠を収集しなかった
- 加害生徒への指導が不十分
などの行為が安全配慮義務違反にあたる可能性があり、被害者の苦痛を増大させたとして損害賠償が認められることがあります。
事故(いじめ被害)後の流れ
- 事実関係の把握と証拠確保
SNSのスクリーンショットや日記、録音、診断書(精神科など)を集め、いじめの実態を可視化。 - 学校や教育委員会への連絡・相談
学校の窓口に報告し、対応を確認。動かない場合は教育委員会や第三者委員会にエスカレート。 - 示談交渉・法的措置
学校の過失や加害者の責任を主張し、示談や訴訟で損害賠償を求める。
弁護士に相談するメリット
- いじめ事実の立証サポート
いじめの事実や学校の放置を示す証拠を精査し、法的に有効な形でまとめる。 - 加害者(保護者)や学校との交渉代理
学校がいじめの存在を否定する場合でも、弁護士が第三者の立場から説得力をもって交渉を行える。 - 慰謝料や逸失利益の適正算定
不登校や精神障害など長期的な損害を評価し、十分な賠償を主張しやすい。 - 再発防止に寄与
和解書に学校のいじめ対策強化を明記し、同じ被害が出ないようにする。
まとめ
いじめ被害は、学校が適切に対応すれば防げたはずの長期化・深刻化が起こり得る重大な問題です。学校には、いじめ防止対策推進法によって明確に安全配慮義務が課されており、これを怠ると損害賠償責任を追及される場合があります。被害者・保護者は、まず証拠を確保しつつ学校・教育委員会に相談し、それでも問題が解決しないときは弁護士に依頼して示談・裁判で適正な賠償や再発防止策を求めるのが有効です。
弁護士法人長瀬総合法律事務所では、いじめ問題における示談交渉や法的手続きでのサポート実績を有し、被害者や保護者の意向を踏まえた最善の解決策を提案いたします。
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