コラム

2025/07/25 コラム

むちうち(14級9号)の慰謝料相場と、適正額を獲得するための証拠集め

交通事故による怪我の中で、最も多くみられるのが「むちうち(頸椎捻挫、外傷性頸部症候群など)」です。追突事故などによって首がムチのようにしなることで、首の筋肉や靭帯、神経などを損傷してしまう状態を指します。

むちうちは、「たいしたことはない」「そのうち治るだろう」と軽視されがちですが、実際には天候によって痛みがぶり返したり、手足のしびれや頭痛、めまいなどの症状が長く続いたりすることが少なくありません。

この記事では、むちうちで請求できる慰謝料の相場と、後遺障害としてきちんと認定を受け、適正な賠償金を獲得するために重要なポイントを解説します。

むちうちで請求できる2種類の慰謝料

むちうちの治療を余儀なくされた場合、精神的苦痛に対する賠償として、主に2種類の慰謝料を請求できる可能性があります。

  1. 入通院慰謝料
    事故による怪我の治療のために、入院や通院をしたことに対する慰謝料です。治療期間(通院期間)に応じて金額が算定されます。
  2. 後遺障害慰謝料
    治療を続けても症状が完治せず、「症状固定」と診断された後も、痛みやしびれ等の症状が残った場合に請求できる慰謝料です。後述する「後遺障害等級」が認定されることが前提となります。

この「後遺障害等級」が認定されるか否かで、最終的に受け取れる賠償金の総額は大きく変わります。

【弁護士基準】むちうちの慰謝料相場

では、弁護士が介入して最も高額な「弁護士基準(裁判所基準)」で請求した場合、慰謝料の相場はいくらになるのでしょうか。

入通院慰謝料の相場

むちうちの場合、弁護士基準では「別表Ⅱ(軽傷用)」という算定表を用いて計算します。

通院期間

弁護士基準(別表

自賠責基準(参考)

3ヶ月

53万円

387000

6ヶ月

89万円

537600

※自賠責基準は実通院日数によって変動します。

このように、弁護士基準で請求することで、入通院慰謝料だけでも数十万円の増額が見込めます。

後遺障害慰謝料の相場(149号認定時)

症状固定後も、首の痛みや手のしびれなどの神経症状が残った場合、「局部に神経症状を残すもの」として後遺障害等級149に認定される可能性があります。

この149号が認定された場合の後遺障害慰謝料の相場は、以下の通りです。

  • 弁護士基準:110万円
  • 自賠責基準:32万円

その差は3.4にもなります。

したがって、例えば通院6ヶ月で後遺障害149号が認定された場合、弁護士基準での慰謝料の合計額は【入通院慰謝料89万円+後遺障害慰謝料110万円=199万円】が相場となります。 

後遺障害149号を勝ち取るための4つのポイント

むちうちは、レントゲンやMRIなどの画像検査では異常が見つかりにくいことが多く、後遺障害の認定を得るためのハードルは決して低くありません。症状の存在を客観的に証明するため、以下の4つのポイントを押さえてください。

1. 事故直後から速やかに、継続的に通院する

事故から時間が経ってからの受診や、通院期間にブランクがあると、事故と症状の因果関係を疑われます。また、通院頻度が低いと「症状が軽い」と判断されかねません。医師の指示に従い、少なくとも月10日程度を目安に、症状固定まで一貫して通院を続けましょう。

2. 必ず「整形外科」に通院する

整骨院や接骨院での施術も有効な場合がありますが、後遺障害等級認定の申請に必要な「後遺障害診断書」を作成できるのは医師だけです。整形外科(病院)での診察を定期的に受け、治療の経過を記録してもらうことが重要です。

3. 医師に自覚症状を具体的かつ一貫して伝え続ける

「これくらい言わなくてもいいか」と遠慮してはいけません。「首の右側が痛む」「雨の日に頭痛がひどくなる」「キーボードを打つと指先がしびれる」など、症状の内容、頻度、状況をできるだけ具体的に、診察のたびに伝えましょう。その内容がカルテに記載されることで、症状の一貫性を証明する重要な証拠となります。

4. 必要な神経学的検査を受ける

むちうちの症状を客観的に示すため、ジャクソンテストやスパーリングテストといった神経学的検査を医師に依頼し、実施してもらいましょう。これらの検査で陽性反応(異常あり)が出れば、症状の存在を裏付ける医学的所見となります。

まとめ

「たかがむちうち」と軽視していると、後遺症に長く苦しむだけでなく、受け取れるはずの正当な賠償金を受け取れずに終わってしまう危険性があります。

後遺障害149号の認定を勝ち取り、弁護士基準での賠償を実現するためには、事故直後からの戦略的な通院と証拠集めが欠かせません。その手続きは専門的であるため、交通事故と後遺障害認定に精通した弁護士のサポートを受けることが有効です。

弁護士法人長瀬総合法律事務所では、むちうちの後遺障害認定に関するご相談を多数お受けしております。少しでもお身体に不安があれば、お早めにご相談ください。


 

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