コラム

2025/07/27 コラム

交通事故の示談交渉、いつ始める?弁護士に依頼する最適なタイミング

はじめに

交通事故の被害に遭った後、治療がある程度進むと、加害者側の保険会社から連絡があり、「示談交渉」が始まります。示談とは、裁判をせずに、当事者間の話し合いによって損害賠償の問題を解決する手続きです。

しかし、「保険会社から示談の話をされたけど、もう応じてもいいの?」「交渉はいつから始めるべき?」と、そのタイミングに悩む方は少なくありません。

示談交渉を始めるタイミング、そして専門家である弁護士に依頼するタイミングを間違えると、本来受け取れるはずだった賠償金を受け取れなくなるという不利益を被る可能性があります。この記事で、後悔しないための「最適なタイミング」を学びましょう。

示談交渉を開始する「正しい」タイミングは「損害額の確定後」

結論から言うと、示談交渉を始めるべき正しいタイミングは、交通事故によって生じた全ての損害額が確定してからです。

なぜなら、損害額が確定しないうちに示談を成立させてしまうと、その後に新たな損害が発覚しても、原則として追加の賠償請求(再示談)はできないからです。示談書には通常、「本件に関し、本書に記載するもののほか、他に何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった清算条項が含まれているためです。

では、「損害額が確定する」とは、具体的にいつを指すのでしょうか。ケースごとに見ていきましょう。

物損事故(怪我なし)の場合

車の修理費用の見積額が確定した時点で損害額が確定します。

人身事故(怪我あり・後遺障害なし)の場合

医師がこれ以上の治療は不要と判断した「治癒(完治)」または、これ以上治療を続けても改善が見込めないと判断した「症状固定」の時点で、治療費や入通院慰謝料の総額が確定します。

人身事故(後遺障害あり)の場合

症状固定後、後遺障害等級認定の申請を行い、その等級が正式に決定した時点で、後遺障害慰謝料や逸失利益を含めた全ての損害額が確定します。

特に人身事故の場合、保険会社が治療の途中で「そろそろ示談しませんか」と連絡してくることがありますが、まだ治療が必要な段階で焦って応じる必要は一切ありません。

弁護士に依頼する「最適」なタイミングは?

示談交渉を有利に進め、適正な賠償額を獲得するために弁護士のサポートは非常に有効です。では、弁護士に相談・依頼するのは、どのタイミングが最も良いのでしょうか。

答えは「早ければ早いほど良い」ですが、目的別にいくつかの「最適なタイミング」があります。

タイミング:事故直後

事故後すぐに弁護士に相談すれば、今後の手続きの全体像や、適正な賠償を受けるための通院方法、やっておくべき証拠保全などについて、的確なアドバイスを受けられます。その後の保険会社とのやり取りも弁護士に任せられるため、被害者の方は安心して治療に専念できるというメリットがあります。

タイミング:治療中(保険会社から治療費打ち切りを打診された時)

保険会社は、営利企業であるため、なるべく治療費を抑えようと、まだ治療が必要な段階でも「来月で治療費の支払いを打ち切ります」と通告してくることがあります。このような不当な打ち切りに対し、弁護士が医師の意見も踏まえて法的に交渉することで、治療期間の延長を認めさせることが期待できます。

タイミング:症状固定の診断を受けた時

適正な後遺障害等級を獲得できるかどうかは、賠償額を大きく左右します。この重要な局面で弁護士に依頼すれば、後遺障害診断書の記載内容が認定に有利なものになっているかのチェックや、より認定の可能性が高まる「被害者請求」の手続きを任せることができます。

タイミング:保険会社から示談金が提示された時

もし上記までのタイミングで依頼しなかったとしても、保険会社から提示された示談案にサインする前であれば、まだ間に合います。このタイミングで弁護士に相談すれば、提示額が低額な保険会社基準ではなく、正当な弁護士基準(裁判所基準)に基づいて計算されているかをチェックし、増額交渉を行うことができます。

まとめ

交通事故の示談交渉は、決して焦ってはいけません。全ての損害額が確定するのを待ってから、冷静に始めることが鉄則です。

そして、専門家である弁護士に依頼するタイミングは、早ければ早いほど、被害者の方が受けられるメリットは大きくなります。少なくとも、保険会社から提示された示談書に安易にサインしてしまう前に、一度立ち止まり、その金額が本当にあなたの受けた損害に見合ったものなのか、専門家である弁護士にご相談ください。

弁護士法人長瀬総合法律事務所は、どのタイミングでのご相談でも、被害者の方にとって最善の解決策をご提案いたします。


 

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