2025/08/19 コラム
不倫・浮気の慰謝料相場は?離婚する場合・しない場合の金額の違い
はじめに
パートナーに不倫・浮気をされた。その裏切り行為によって受けた精神的な苦痛は、計り知れないものがあるでしょう。この精神的苦痛に対して支払われる賠償金が「不倫慰謝料」です。
慰謝料を請求しようと考えたとき、多くの方が「一体いくら請求できるのだろう?」という疑問を抱かれます。
不倫慰謝料の金額は、個別の事情によって大きく変動しますが、その金額を決定づける最も大きな要因は「不倫が原因で離婚するに至ったかどうか」です。
この記事では、不倫慰謝料の相場と、金額を左右する具体的な要因について、専門家の視点から解説します。
不倫慰謝料の相場は「離婚の有無」で大きく変わる
不倫慰謝料の算定において、裁判所が最も重視するのは「不倫行為によって、婚姻関係がどの程度破壊されたか」という点です。そのため、慰謝料の相場は、離婚に至ったかどうかで以下のように異なります。なお、以下の金額も、あくまでも目安にとどまります。実際にどの程度の慰謝料が認定されるかは、ケースバイケースと言えます。
離婚する場合の慰謝料相場:100万円~300万円
不倫が原因で離婚に至った場合、それは「平穏な婚姻生活を送る」という最も大切な権利が根底から覆されたことを意味します。その精神的苦痛は大きいと判断されるため、慰謝料は高額になる傾向があります。
離婚しない(婚姻関係を継続する)場合の慰謝料相場:50万円~100万円
夫婦関係をやり直すことを選択し、離婚しない場合でも、不倫によって受けた精神的苦痛に対する慰謝料は請求できます。しかし、婚姻関係そのものは継続しており、将来的には夫婦関係が修復される可能性も残されているため、精神的苦痛の程度は離婚する場合よりも小さいと判断されます。その結果、慰謝料の相場は離婚する場合と比較して低額になります。
慰謝料の金額を左右する「その他の要因」
上記の相場はあくまで目安です。実際の慰謝料額は、以下のような様々な個別事情を考慮して、相場の範囲内で増減します。
慰謝料が“増額”されやすい要因
- 婚姻期間が長い(例:20年以上など)
- 不倫の期間が長く、肉体関係の回数が多い
- 不倫相手が妊娠、または出産した
- 不倫が原因で、請求者がうつ病などの精神疾患を患った
- 不倫発覚後、配偶者や不倫相手に反省の色がなく、不誠実な態度をとっている
- 夫婦の間に未成熟の子どもがいる
- 不倫を主導したのが不倫相手側だった
慰謝料が“減額”されやすい要因
- 婚姻期間が短い(例:1年未満など)
- 不倫が始まる前から、夫婦関係が実質的に破綻していた(長期間の別居など)
- 不倫の期間が短く、肉体関係の回数が1回のみなど、悪質性が低い
- 不倫相手が真摯に謝罪し、社会的制裁(退職など)を受けている
- 請求者側にも、夫婦関係を悪化させた原因(DVやモラハラなど)がある
慰謝料は「配偶者」と「不倫相手」の双方に請求できる
不倫は、不倫をした配偶者とその相手の2人による「共同不法行為」です。そのため、慰謝料は原則として「あなたの配偶者」と「不倫相手」の両方に対して請求することができます。
ただし、慰謝料を二重取りできるわけではありません。例えば、認められる慰謝料の総額が200万円の場合、不倫相手から200万円全額を受け取ったのであれば、もはや配偶者に請求することはできません。
- 離婚しない場合
生活を共にする配偶者には請求せず、不倫相手にのみ請求するケースが一般的です。 - 離婚する場合
配偶者には財産分与などと合わせて請求し、それとは別に不倫相手にも請求するケースが多く見られます。
まとめ
不倫慰謝料の相場は、まず「離婚するか、しないか」という大きな分岐点があり、そこに様々な個別事情が加味されて最終的な金額が決まります。相手から提示された金額が妥当なのか、あるいはいくら請求できるのかをご自身で判断することは難しい作業です。
感情的になりがちな男女間のトラブルだからこそ、一度冷静になり、法律の専門家である弁護士に相談することをお勧めします。弁護士法人長瀬総合法律事務所は、あなたの受けた心の傷に見合った、正当な慰謝料を獲得するためのお手伝いをいたします。
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