2025/08/21 コラム
不倫慰謝料の請求方法|内容証明郵便の書き方から裁判までの流れ
はじめに
不倫の事実を裏付ける十分な証拠が集まったら、次はいよいよ慰謝料を請求する具体的な行動に移ります。しかし、いきなり裁判を起こすわけではありません。通常、いくつかの段階を踏んで解決を目指します。
この記事では、慰謝料請求のスタートである「話し合い」から、最終手段である「裁判」まで、具体的な請求方法と流れをステップごとに解説します。
不倫慰謝料請求の全体像
慰謝料請求は、一般的に以下の流れで進んでいきます。多くはSTEP1またはSTEP2の段階で解決しますが、話がまとまらなければ次のステップに進むことになります。
- 【STEP 1】 話し合い(任意交渉)
↓ (合意に至らない) - 【STEP 2】 内容証明郵便による請求
↓ (支払いがない・無視される) - 【STEP 3】 裁判所の手続き(調停・訴訟)
STEP 1:話し合い(任意交渉)
まずは、不倫相手に対して直接、慰謝料を支払うよう求める話し合い(交渉)から始めるのが一般的です。
- 方法
直接会う、電話、メール、LINEなど。 - ポイント
感情的にならず、あくまで冷静に、事務的に交渉を進めることが重要です。「手元には不貞行為の証拠がある」ことを示唆しつつ、希望する慰謝料額、支払期限、支払方法などを具体的に伝えます。 - 合意できたら
交渉がまとまったら、必ずその内容を書面に残します。口約束だけでは、後で「言った、言わない」のトラブルになる危険性があります。作成した「示談書(合意書)」に、双方が署名・捺印をしましょう。 - より確実にするには
示談書を「公正証書」として作成しておくことを強くお勧めします。公正証書にしておけば、万が一相手が支払いを怠った場合に、裁判を起こすことなく、直ちに相手の給与や財産を差し押さえる「強制執行」が可能になります。
STEP 2:内容証明郵便による請求
相手が話し合いに応じない、電話やメールを無視する、といった場合には、「内容証明郵便」を送付して正式に請求します。
- 内容証明郵便とは?
「いつ、いかなる内容の文書を、誰から誰あてに差し出されたか」ということを、差出人が作成した謄本によって日本郵便が証明する制度です。 - 効果と目的
- 心理的プレッシャー
書面自体に法的な強制力はありませんが、「請求書」という正式な形で届くことで、相手にこちらの本気度を伝え、支払いに応じさせる心理的な効果が期待できます。 - 時効の完成猶予
慰謝料請求権の時効が迫っている場合に、内容証明郵便を送ることで、時効の完成を6ヶ月間猶予させることができます(催告)。
- 心理的プレッシャー
- 書き方のポイント
- タイトル
「通知書」「慰謝料請求書」など。 - 事実関係
誰が、いつ、どこで、誰と不貞行為に及んだかを簡潔に記載します。 - 請求内容:請求する慰謝料の金額、支払期限、振込先の銀行口座などを明記します。
- 結びの言葉
「万一、上記期限内にお支払いいただけない場合は、やむを得ず訴訟を提起する所存です」といった文言を入れ、法的措置を検討していることを伝えます。
- タイトル
弁護士に依頼し、弁護士の名前で内容証明郵便を送付すると、相手に与えるプレッシャーはさらに大きくなり、交渉が有利に進む可能性が高まります。
STEP 3:裁判所の手続き(調停・訴訟)
内容証明郵便を送っても支払いに応じない場合は、裁判所を利用した法的な手続きへと移行します。
- 民事調停
裁判官と調停委員が間に入り、話し合いでの解決を目指す手続きです。非公開で行われ、訴訟よりも費用が安いというメリットがありますが、相手が合意しなければ不成立となります。 - 民事訴訟(裁判)
交渉による解決が不可能な場合の最終手段です。裁判所に訴状を提出し、お互いの主張と証拠を出し合い、最終的には裁判官に判決を下してもらいます。判決には法的な強制力があるため、相手の意思に関わらず、問題を最終的に解決することができます。
まとめ
不倫慰謝料を請求する道のりは、精神的にも時間的にも大きな負担がかかります。どの段階で、どのような方法を選択するのがご自身のケースにとって最適なのかを判断するには、法的な知識と交渉の経験が不可欠です。
弁護士にご依頼いただければ、あなたに代わって相手方との交渉から書面作成、そして裁判手続きまで、お引き受けします。一人で悩まず、まずは専門家である弁護士にご相談ください。
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