スポーツ事故
スポーツ事故とは
スポーツ事故とは、スポーツをしているときに発生する事故全般をいいます。スポーツは身体を動かし、相手のある競技も多いので、ケガを避けることが難しく事故が起こりやすい傾向にあります。
スポーツ事故が他の客など特定の個人によって引き起こされた場合には、相手方に対して賠償金の請求ができます。ゴルフ場やプールなど、スポーツ施設の従業員によって引き起こされた場合は、従業員に不法行為が成立するので、従業員個人に対して損害賠償請求ができます。また、スポーツ施設内で事故が起こった場合、施設の管理者に損害賠償請求ができる可能性もあります。
加害者が子どもの場合には、子ども本人には支払い能力がないため、その親に損害賠償請求ができる可能性があります。
このようなお悩みはありませんか
「スキーをしているとき、他の客とぶつかってケガをした」
「ジムでトレーニングをした際、器具に不具合があって負傷した」
「ゴルフ場で他の客が打ったボールが頭に当たった」
「体育館の手すりが錆びていて、階段から転落した」
「プールで泳いでいる最中に、排水溝に足をとられて溺れた」
請求できる慰謝料
傷害慰謝料
傷害慰謝料とは、ケガの治療のために入院や通院を行ったことで生じる、精神的苦痛に対する慰謝料のことをいいます。
入院期間や通院期間に応じて、請求できる金額が異なります。一般的には、入院期間や通院期間が長くなるにつれて慰謝料が増額される傾向にあります。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、被害者のケガが完治せず後遺障害が残った場合に生じる、精神的苦痛に対する慰謝料のことをいいます。
後遺障害慰謝料を請求するためには、ケガが完治せずに残った後遺症が後遺障害に該当することを証明しなければなりません。後遺障害の認定を受けた場合は、症状の程度に応じて等級が定められます。認定された後遺障害等級に応じて後遺障害慰謝料の金額が決められます。
死亡慰謝料
死亡慰謝料とは、死亡したことにより生じる精神的苦痛に対する慰謝料のことをいいます。被害者は死亡しているため、実際に請求を行う方は相続人となる家族となります。また、被害者の家族が固有の慰謝料を請求することも可能です。
死亡慰謝料は、被害者の年齢や家族構成などをもとに算定されます。死亡慰謝料のおよその相場は2000~2500万円程度です。この金額の中には、被害者の家族が固有に請求できる慰謝料も含まれています。なお、個別の事案に応じて、死亡慰謝料が相場から増減する可能性があることにご留意ください。
休業損害
休業損害とは、ケガの治療のために仕事を休んだために減った収入のことをいい、その補償を加害者側に請求します。
職業や収入、休業した期間、休業中の通院日数などによって金額が変わり、治療のために有給休暇を使った場合も請求することができます。また、専業主婦でも、事故によって家事に影響が出た場合は請求することが可能です。
後遺障害逸失利益
スポーツ事故でケガをすると、完治せずに後遺障害が残ってしまうケースがあります。
後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったために労働能力が低下し、将来得られるはずだった収入分のことをいい、将来の減収分の逸失利益を支払ってもらうことが可能です。
弁護士に相談するメリット
交渉・対応のストレスの軽減
弁護士に依頼すれば、示談交渉から裁判対応まですべて任せることができます。
相手方との連絡窓口を弁護士にすることで、被害者の方が直接対応する必要もなくなります。そのため、リハビリや仕事への復帰など、日常を取り戻すための活動に専念できます。
適正な賠償金獲得に向けて粘り強く交渉
事故の相手方が提示してくる金額が妥当とは限りません。相手が加入しているスポーツ保険の範囲内に抑えるために、不当に低い金額を提示してくる可能性もあります。
弁護士に依頼することで、適正な賠償金の獲得に向けて、代理人として相手方と交渉します。
証拠資料の収集や書類の作成をサポート
賠償責任を明らかにしたり、適正な損害賠償金額の算定にあたっては根拠が必要になります。
多くの損害賠償請求事案を担当する弁護士に依頼することで、どのような資料を用意するべきか、どのように書類を作成するべきかなどのサポートを受けられます。
被害者やそのご家族がご自身でやるよりも、弁護士に依頼した方がスムーズに進みます。
ご相談の流れ
事故後は学校・施設管理者に報告し、治療に専念しよう
スポーツ中の事故の場合は、できる限り事故直後に病院で適切な診断を受けることをおすすめします。負傷してから一定の時間が経過してしまうと、事故と症状との因果関係に疑いが生じてしまうおそれがあります。そのため、すぐに医師の診断を受けないと、医療費や慰謝料を請求することが難しくなる場合もあります。
そして、すぐに事故の事実を学校や施設管理者に報告してください。学校は課外活動中に生徒が負傷した場合には、教育委員会に災害報告書を提出します。施設管理者側でも、利用できる保険制度がある場合には、保険による対応を検討するケースもあります。
この災害報告書は、事故発生事実の公的な証明にもなり、日本スポーツ振興センターから「災害共済給付」を受けられることも期待できます。
部活動の事故で後遺症が残った場合にすべきこと
ケガが完治しないで後遺症が残った場合は、担当の医師に障害診断書を作成してもらいましょう。診断書には、障害の部位や程度が記載されています。
後遺症が残ってしまった場合は、日本スポーツ振興センターに障害等級認定を申請します。後遺症の症状が後遺障害に該当するという認定を受けることができれば、後遺障害慰謝料・後遺障害逸失利益を請求することが可能になります。
後遺障害を認定してもらうためには、診断書や医学的な資料の他に、意見書を添付して申請することが効果的なケースもあります。
加害者や学校との示談交渉・民事訴訟
治療が終了したり、後遺障害等級が確定した後に、具体的な損害賠償額を算定します。請求金額が決まったら、加害生徒や学校に対して、内容証明郵便などを送付して請求していきます。
学校と示談交渉をする場合、とくに公立学校では損害賠償は公費から賄われるため、時間がかかる可能性が高くなります。
しかし、長期間、事件が解決しないことは、被害者にとってデメリットです。そのため、学校側の責任が明らかな事案や被害者に有利な事案については、訴訟を前提として回答期限を設けておくことがよい場合もあります。
加害者と学校との示談交渉が成立しなかった場合は、訴訟を提起して裁判によって請求していくことになります。