学校事故

2025/03/08 学校事故

いじめ被害における学校の責任と損害賠償:見過ごしを防ぎ、子どもの権利を守るには

      はじめに

      いじめは、身体的・精神的に弱い立場の子どもに深刻なダメージを与え、不登校自殺に至る可能性もある重大な問題です。学校はいじめ防止対策推進法に基づき、いじめを早期発見・対応する責任を負います。しかし現実には、「いじめを黙殺していた」「事態を十分に把握できず対処が遅れた」など、学校の対応が不十分だったために被害が拡大するケースが後を絶ちません。本稿では、いじめ被害における学校の法的責任や損害賠償問題を改めて整理し、被害者側・保護者が知るべき対処法、弁護士に相談するメリットなどを解説します。

      Q&A

      Q1:学校のいじめ対応が不十分だった場合、法的責任は問われるのでしょうか?

      学校には、いじめを防止し、把握したら適切に対処する安全配慮義務があります。いじめ防止対策推進法でも、学校がいじめを認知したら速やかに調査・指導することを義務付けています。これらを怠り、いじめ被害が拡大・長期化した場合、学校に安全配慮義務違反として損害賠償責任が認められる可能性があります。

      Q2:加害者本人が未成年の場合、損害賠償はどうなりますか?

      未成年の場合は、原則として保護者(親)が監督義務違反を問われ、損害賠償を負うことになります(民法714条)。加害者の年齢やいじめ行為の態様にもよりますが、深刻な精神的被害(PTSDなど)が認定されると、比較的高額な慰謝料が発生することが多いです。

      Q3:学校がいじめを「確認できなかった」と主張する場合はどうするべきでしょう?

      保護者や被害生徒自身は、LINESNSのやり取り、日記・手帳への記録、目撃証言など、いじめの実態を示す証拠を積極的に集めることが重要です。また、学校に相談した日時や内容をメモや録音で残し、学校がいつどんな対応をしたかを検証できるようにしておきましょう。必要に応じて、教育委員会弁護士への相談も視野に入れます。

      Q4:いじめで心身に大きなダメージを負った場合、どのような損害賠償が認められますか?

      治療費(精神科・心療内科等に通院した場合)や入院費のほか、学校に行けなくなった影響で将来の進学や就職に支障が生じたときには逸失利益が検討されることがあります。なかでも、いじめの精神的苦痛に対する慰謝料が大きな論点となり、深刻ないじめほど高額となる傾向があります。

      Q5:話し合いが進まないとき、どの段階で弁護士に相談すればよいでしょうか?

      いじめが疑われる時点で相談しても構いませんが、基本的には学校や教育委員会に相談し、適切な対応が得られずに被害が悪化する兆しがあれば、お早めに弁護士へ連絡することをご検討ください。法的視点で整理・助言を受けることで、示談や裁判に適切に対応できます。

      解説

      いじめ防止対策推進法と学校の責任

      2013年施行のいじめ防止対策推進法は、学校がいじめを早期発見するための仕組みを整え、いじめを把握したら速やかに調査・対処を行うことを義務付けています。学校内にいじめ対策委員会を設置し、教職員や保護者、カウンセラーなどが連携して対応する体制を構築することなどが挙げられています。この法的枠組みがあるため、学校がいじめを放置していた場合には、安全配慮義務違反がより厳しく問われるようになっています。

      いじめ被害で起きる損害の例

      • 身体的傷害:殴る、蹴るなど直接的な暴力
      • 精神的苦痛:無視・仲間外し、SNSでの誹謗中傷によるストレスや不安感
      • 金銭的損失:加害者から金銭を要求される、私物を壊され弁償が必要になる
      • 学業への影響:不登校・転校による将来の進学や就職への支障

      事故(被害)後の対応

      1. 証拠収集
        SNS
        のスクリーンショット、日記・録音、怪我の診断書などを確保。
      2. 学校への相談・報告
        いじめ対応窓口や担任、校長に状況を伝え、対応を求める。記録を残すことが大切。
      3. 教育委員会・第三者機関へ相談
        学校が動かなければ教育委員会、さらには第三者委員会などで問題を扱ってもらう。
      4. 示談交渉・裁判
        加害者の親や学校が誠意ある対応を示さない場合、弁護士を通じて法的措置を検討する。

      弁護士に相談するメリット

      1. いじめの事実立証のサポート
        被害者の証言やSNS記録、他の生徒の証言などを法的に有効な形でまとめ、いじめの存在や学校の過失を主張しやすくする。
      2. 加害者・保護者・学校との交渉代理
        感情的になりがちな話し合いを弁護士が代理し、冷静かつ公正な交渉を行う。
      3. 損害賠償額の算定
        精神的被害(PTSD等)や不登校による逸失利益など、見落としがちな項目を含めて請求内容を整理する。
      4. 再発防止と学校管理体制の改善
        示談や裁判を通じ、学校にいじめ防止策の強化を求め、同じ被害が二度と起きないよう取り組むきっかけをつくる。

      まとめ

      いじめ被害は、被害者の身体的・精神的健康や学業、将来にまで深刻な影響を及ぼす重大な問題です。学校にはいじめを未然に防ぎ、発生時には迅速かつ適切に対応する法的な義務があり、これを怠れば安全配慮義務違反として責任を問われる可能性があります。

      もしお子さんがいじめ被害に遭い、学校側の対応に不満を感じたり、被害が深刻化したときには、弁護士に相談していじめ事実の立証や損害賠償請求を検討することをお勧めします。弁護士法人長瀬総合法律事務所では、いじめ問題の解決に豊富なノウハウを持ち、被害者の権利を守るために全力でサポートいたします。


       

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